大日本府県名所一覧 全

番号 201
名前 大日本府県名所一覧 全
読み だいにほんふけんめいしょいちらん ぜん
サイズ(cm) 123.5 x 36.5
彩色 木版 色刷
作者 細島精三
版元 林 吉蔵
作成日(和暦) 明治12年6月10日
作成日(西暦) 1879年
地域 日本
解説 1枚折り畳みの刊行日本図。多色刷りで、太平洋上空から日本を俯瞰した美麗な鳥瞰図である。本図は、慶応元年(1865)に二代目歌川広重こと喜斎立祥(きさいりっしょう、1867年没)によって作成された「大日本名所一覧」の改訂版である。二代目広重は婿養子として安藤家に入ったが、同年に師の家を出ており、「大日本名所一覧」では「前広重」とも名乗っている。本図の右下に「叟斎復春了古圖畫」、左下の奥書には「編輯並画図 細島精三/出板人 林 吉蔵」とある。「叟」は翁・年寄りのことを意味する。「了古」とは隅田了古を指し、細島晴三の画名とみられることから、細島晴三は二代目広重と何らかの関係があったとも推察される。細島晴三はまた、『新聞記者竒行傳』の編集者としても知られる。細島精三の住所は「東京京橋区桶町七番地」、林吉蔵の住所は同区の「南伝馬町一丁目二番地」となっている。林吉蔵は浮世絵の板元とみられ、当時発刊されていた「朝野新聞」に掲載された新聞錦絵の板元や、明治18年(1884)の「富士山異変之図」などの作成に携わっている。それゆえ、本図は基本的には「大日本名所一覧」を踏襲し、旧国名が赤色の短冊表記、山が立体景観、旧城下町については画一的な二層の天守閣(御城)記号で描かれ、それに主要な地名・山名・河川名、有名社寺、名所旧跡が書き込まれている。本図ではこれに、新たに誕生した府県名を小型の黄色短冊で書き加えている。ただし版を変えただけなので、明治維新後に取り壊された旧城下町の御城記号も、そのまま描かれることとなった。他方、「大日本名所一覧」図の周囲に記載されていた国絵図石高一覧は、旧国別に郡数・県名や名産品・主要地名の一覧に置き換わっている。この一覧には、維新後に新たな領土となった琉球国や北海道管下の11ヶ国(千島国を含む)も含まれ、末尾には「八十四国三府三十六県」と記載されている。「価十五銭」の朱色の押印もみえる。
要約 1枚折り畳みの刊行日本図。多色刷りで、上空から日本を俯瞰した美麗な鳥瞰図。明治12年(1879)年に細島精三・林吉蔵によって刊行された本図は、幕末期に作成された「大日本名所一覧」の改訂版である。注記は旧国単位での郡数・県名や名産品・主要地名一覧に置き換わっているが、地図は基本的に初版本を踏襲している。その結果、明治維新後に取り壊された旧城下町の御城記号も、そのまま描かれることとなった。
キーワード 細島精三、林吉蔵、歌川広重、大日本名所一覧
参照 長岡正利「国土地理院所蔵地図史料展観ⅩⅩⅣ 大日本府県名所一覧」国土地理院広報、第344号(1997年)。東京大学総合研究博物館。明治大学附属図書館(蘆田文庫)HP(http://www.lib.meiji.ac.jp/ashida/)。

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