下総国輿地全図

番号 267
名前 下総国輿地全図
読み しもうさのくによちぜんず
サイズ(cm) 111.0 x 101.0
彩色 木版 色刷
作者 鶴峯戊申
版元 正文堂利兵衛・菊屋七郎兵衛・河内屋茂兵衛・出雲寺萬次郎・須原屋茂兵衛・菊屋幸三郎
作成日 嘉永2年
作成日 1849年
地域 千葉県北部
解説 江戸時代の後期から末期、つまり19世紀前半から中頃に国別の地図(現在の分県地図にあたる)が多数出版される。この図は東南方向を上にした下総国(現千葉県)の図で、多色刷りの美しい刊行国絵図である。図中に刊行年はないものの、別資料(地図に付属する筒状の帯)に嘉永2年(1849)の刊行であることが記されている。現在の千葉県をなす三国(上総・下総・安房)とも嘉永2年に刊行図が出る。図の右上に図名「下総国輿地全図」と記されるが「輿地」とは土地といった意味である。右下に図の凡例を配置し、図中の記号や、作者鶴峯戊申(彦一郎)と図を描いた塚田為徳の名前が記されている。地図には村名はじめ多数の地名や道筋が記されるが、さらにそのまわりには四角枠でおびただしい文字情報を記している。それらは下総国の沿革や郡名、古城、神社仏閣、旧跡、人物、物産などが記されており、この一枚の地図に地誌情報を満載し、下総国全体の地理と歴史を紹介している。それらは古今集や拾芥抄などの古典25種から引用されており、文中にその引用書目を記している。真摯な制作態度がうかがえるのである。左下にある凡例の最後には、東都書林菊屋幸三郎の版元名がある。菊屋は関東一円の国図の出版を多くの版元と共に手がけていることでユニークな存在である。また、鶴峰彦一郎(戊申)(しげのぶ)のような和漢洋の学問に通じた学者や、地図を多く描いた橋本玉蘭斎(浮世絵師の五雲亭貞秀)などを採用し、いわば地図専門出版者としての性格も持つ。
要約 この図は東南方向を上にした下総国(現千葉県)の図で、多色刷りの美しい刊行国絵図である。作者は和漢洋の学問に通じた学者である水戸の鶴峯彦一郎(戊申)(しげのぶ)で、図を描いたのは塚田為徳である。嘉永2年(1849)の刊行である。地図には村名はじめ多数の地名や道筋が記されるが、さらにそのまわりには四角枠でおびただしい地誌情報(国名、郡名、物産など)が、古典からの引用で記されている。
キーワード 刊行国絵図、地誌情報、菊屋幸三郎
参照 三好唯義「近世刊行国絵図の書誌的検討」(葛川絵図研究会編『絵図のコスモロジー 上巻』地人書房、1988年)206-225頁。

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