安房国全図

番号 268
名前 安房国全図
読み あわのくにぜんず
サイズ(cm) 68.6 x 46.0
彩色 木版 色刷 
作者 鶴峰彦一郎(戊申)
版元 房州磯村 真浦屋忠吉・江戸 菊屋幸三郎 共版
作成日 嘉永2年
作成日 1849年
地域 千葉県南部
解説 江戸時代の後期から末期、つまり19世紀前半から中頃に国別の地図(現在の分県地図にあたる)が多数出版される。この図は東南方向を上にした安房国(現千葉県)の図で、多色刷りの美しい刊行国絵図である。右下にある凡例に嘉永2年(1849)の刊行であることが記されている。現在の千葉県を形成している三国(上総・下総・安房)は、嘉永2年に揃って刊行図が出る。図の左上に図名「安房国全図」と記される。右下に図の凡例を配置し、図中の記号や、作者鶴峰彦一郎(戊申)の名前が記されている。地図には村名はじめ多数の地名や道筋が記されるが、さらにそのまわりには四角枠でおびただしい文字情報を記している。それらは安房国の沿革や郡名、神社仏閣などを記すが、寺院に関しては真言宗や浄土宗といった宗派毎にその寺名が書かれている。また、産物の項目には木綿、眼黒鰹、海苔などが列記され、当時の安房国の名物がしのばれる。この1枚の地図に地誌情報を満載し、安房国全体の地理と歴史を紹介している。さらに図の右上には安房国(洲ノ崎ほか2港)から相模国の港への海上里数を記している。右下にある凡例の最後には、房州(安房)磯村真浦屋忠吉と江戸馬喰町二丁目菊屋幸三郎の2軒の版元が記されている。菊屋幸三郎は、関東一円の国図の出版を多くの版元と共に手がけていることでユニークな存在である。また、鶴峰彦一郎(戊申)のような和漢洋の学問に通じた学者や、地図を多く描いた橋本玉蘭斎(浮世絵師の五雲亭貞秀)などを採用するなど、いわば地図専門出版者としての性格も持つ。
要約 この図は東南方向を上にした安房国(現千葉県)の図で、多色刷りの美しい刊行国絵図である。作者は和漢洋に通じた学者である水戸の鶴峯彦一郎(戊申)である。刊行年は嘉永2年(1849)と明記されている。地図には村名はじめ多数の地名や道筋が記されるが、さらには、四角枠の中におびただしい地誌情報を記している。安房国から相模国への海上里数も記し、船の航行が盛んであったことがうかがえる。
キーワード 刊行国絵図、地誌情報、菊屋幸三郎
参照 三好唯義「近世刊行国絵図の書誌的検討」(葛川絵図研究会編『絵図のコスモロジー 上巻』地人書房、1988年)206-225頁。

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