新版日本国大絵図 本朝図鑑綱目

番号 306
名前 新版日本国大絵図 本朝図鑑綱目
読み しんはんにほんこくおおえず ほんちょうずかんこうもく
サイズ(cm) 165.8 x 70.5
彩色 木版 手彩色
作者 石川流宣
版元 林吉永
作成日(和暦) (項目なし)
作成日(西暦) (項目なし)
地域 日本
解説 石川流宣が手がけた刊行日本図。帙に貼られた外題に「新版日本国大絵図」とある一方で、折本の表紙には「本朝図鑑綱目」とされている。後者は図の左下に内題としても記されるが、年号部分は表記が脱落している。貞享4年(1687)の初版から1713年まで6版が知られており、このうちのいずれかと推測される。内題のすぐ上に、天竺(インド)や交趾(カウチ)など外国地名までの里程表が置かれているのもユニークである。作者の石川流宣は、名を俊之、号を流舟・踊鶯軒などとも称し、浮世絵師菱川師宣の弟子とも言われるが、出自や経歴などは不明な点が多い。本絵図の出版元としては、林氏吉永と記されており、No.276「増補再板 京大絵図」のような京都図を主として手がけている林吉永である。これに対して、上述した初版は、江戸油屋町の相模屋太兵衛板である。彼は、流宣と組んで、江戸図の「江戸図鑑綱目」や世界図の「万国総界図」なども出版している。日本図としての内容を見ると、図形の正確さは無視されている。すなわち、海岸線の屈曲が実際以上に大きく、東北地方は狭く描かれている。この形態は、流宣自身が考案したものではなく、三代将軍家光の「枕屏風日本図」と呼ばれる諸国高を記載する日本図などに依拠したとされる。そして、五畿七道を彩色で分けている。さらに、国郡、石高、城下、名所など多くの情報が記載されている。特に街道、海上航路の注記は詳細である。東海道53次の宿駅や主要街道の里程などは右下に一覧表にされている。なお、本絵図を大判化し、増補改訂した版が、No.288の元禄4年(1691)「日本海山潮陸図」であり、武鑑一覧の役割や道中案内図的要素が強化された。そして、長久保赤水によって18世紀後半に作成されたNo.157「改正日本輿地路程全図」が登場するまでの約1世紀、ベストセラーとなったのである。
要約 石川流宣が手がけた刊行日本図。外題に「新版日本国大絵図」とある一方で、図の左下に「本朝図鑑綱目」の内題があり、年号部分は表記が脱落している。既に知られている貞享4年(1687)の初版から1713年まで6版のうちのいずれかと推測される。本絵図の出版元は林吉永であるが、初版は相模屋太兵衛板である。なお、本絵図を大判化し、増補改訂した版が、No.288の元禄4年(1691)「日本海山潮陸図」であり、武鑑一覧の役割や道中案内図的要素が強化された。
キーワード 石川流宣、林吉永、相模屋太兵衛、日本海山潮陸図
参照 三好唯義・小野田一幸編『図説日本古地図コレクション』河出書房新社(2004年)。

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