従日光諸方道行程

番号 83
名前 従日光諸方道行程
読み にっこうよりしょかたみちこうてい
サイズ(cm) 35.1 x 25.2
彩色 木版
作者 (項目なし)
版元 山本屋定右ヱ門
作成日 (項目なし)
作成日 (項目なし)
地域 北関東
解説 本図は、タイトルからも分かるように日光を中心とした諸方の道中図である。道中図の分類で言えば目的地道中図である。本図に描き方がよく似た道中図として、「内題 御岳山ヨリ諸方道筋之図(刊年は江戸後期、作者・版元は不明)」や「仮題 草津道中図(刊年は幕末。作者は不明。配布元は草津の湯治人宿山口幸右衛門)」などがある。日光を目的地としていながらも、水戸や高崎、江戸などからの参詣に対応できるよう広域的に描かれており、日光参詣以外にも利用できる道中図である。地名は□、○、楕円で囲まれている。その他に社殿と見られるものや、山や河川の図像が描かれている。本図には凡例はないが、前述の2つの道中図を参考にするとおおよその凡例がわかる。以下にそれらを説明する。□で囲まれた地名は城下を表している。古河、宇都宮、水戸などに見られる。○は大きな寺社仏閣を有する土地や湯治場であると思われ、本図では草津や成田、香取などに見られる。成田や香取などには鳥居や社殿などの図像も合わせて描かれている。前述の「草津道中記」では○が「神佛●温泉の印」と説明されており、本図においても整合的である。また、横に2本、縦に3本の線を合わせた図像は栗橋、五料などに見られるが、「草津道中記」の凡例に準じれば関所である。これらのほかに、筑波山や赤城山など各地の山が描かれている。また河川が全体にわたって描かれていることも興味深い。「土浦」の横に「此所ヨリ舟にて行べし」とあることから舟運の便についても考慮していたことがわかる。河川の描かれ方は特徴的である。また、本図の性格を考える上で興味深い点は、図左側に「各々様方御贔屓を以渡世引続罷在難有仕合ェ奉存候尚又此上 御参詣と限らす御登山之御方様不相替御止宿奉□上候、尤途中ニ而馬出等種々悪敷事申御候得とも一切御抱りなく御尋被成下置初めての御方様ハ御読之上御旅宿被仰付候様偏ニ奉願上候以上 日光鉢石町三丁目左側 山本屋定右ェ門」とある。文の大意は山本屋という鉢石宿の旅籠による参詣者への宣伝である。前述の「草津道中記」は、草津の湯治人宿が配布したものであり、そのような寺社や旅籠が無料で配布する案内図は「施し版」、種類によっては「引札」とも呼ばれる。本図も旅籠の宣伝が大きく載せられていることや、版元がないことを考えれば施し版として参詣者や登山者に無料で配布されていたガイドマップであったと思われる。
要約 日光山を目的地とした目的地道中図。水戸や高崎などを含むよう広域的に描かれている。絵図左側には旅籠の宣伝が書かれ、旅籠が無料で参詣者に配布した「施し版」であったと考えられる。
キーワード 日光、目的地道中図、施し版
参照 山下和正著『地図で読む江戸時代』柏書房(1998年)。吉村勇編『江戸時代「古地図」総覧 別冊歴史読本』新人物往来者(1997年)。

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