琉球諸島全図・琉球新誌 下

番号 173
名前 琉球諸島全図・琉球新誌 下
読み りゅうきゅうしょとうぜんず・りゅうきゅうしんし げ
サイズ(cm) 15.0 x 22.5
彩色 銅版
作者 大槻文彦
版元 煙雨樓 蔵版
作成日(和暦) 明治6年
作成日(西暦) 1873年
地域 沖縄県
解説 No.173全体の包紙で「大槻文彦製、琉球諸島全図・図解二巻附、明治六年七月銅刻、煙雨樓蔵版」とある中で言及された「図解二巻」にあたる1冊。表紙に「琉球新誌・図附 下」という題箋が貼り付けられている。上巻の「目録」で、上巻の目次に続いて下巻についても記されており、封貢、図体、人種、政体、歳計、農工、文教、風俗と挙がっている。上巻の内容についてはその解説に委ねるが、上巻の「例言」で下巻に関わる部分を再掲すると、農工、文教、風俗、等の部については、各島毎に分けて叙述しているが、総論も参考にするよう指示している。そして、地名は右に、人名は左に、各々傍線を引く形で、沖縄の事情に不案内な読者への便宜が与えられている。本文の文体は和漢混淆文であり、その内容は25ページ目で「琉球新誌巻下、終」と結ばれた後は、3ページから成る「琉球新誌・跋」が続く。末尾で「以上、鄙考ヲシテ以テ、此篇末ノ跋ニ代フト云」と結んだ後、「明治癸酉六月、平文彦 記」とある。明治癸酉とは同6年に他ならない。最後の作者は、大槻文彦(1847~1928)であり、国語学者、史伝家として活躍した。江戸時代の医者、大槻玄沢の孫に当たる。なお、彼の旧蔵書は大槻文庫として宮城県図書館に所蔵されたうち、貴重書数点が2003年に宮城県の有形文化財に指定された。このうち、北海道と北方領土に関する地誌、明治2年(1869)『北海道風土記』は、出版には至らなかったが、彼による最初の著作である。その背景に、祖父・盤水(ばんすい)、父・磐溪(ばんけい)の集めた豊富な蝦夷地関係書籍があった。『小笠原島新誌(おがさわらしんし)』とともに出版された『琉球新誌(りゅうきゅうしんし)』は、文彦の手による書き入れが随所にみられる。上記3作に『竹島松島の記事』を加えた文彦の地誌四部作は、明治初期に書かれ、近代日本の国家意識が形成されていくなかで、国境の明確化を意図した重要な著作とされている。復刻版が国書刊行会から1973年に出版された。
要約 No.173全体の包紙に言う「琉球諸島全図・図解二巻附」などのうち、「図解二巻」にあたる一冊。上巻に拠れば、前年の明治5年に明治政府が琉球王国を琉球藩とし、国王尚泰が藩主とされたことを受け、内外の既刊書を参考に記した地誌書である。下巻の項目立ては封貢、図体、人種、政体、歳計、農工、文教、風俗であり、和漢混淆文による本文の後は、3ページから成る「琉球新誌・跋」が続く。なお、作者の大槻文彦(1847~1928)は、『言海』で知られる国語学者。
キーワード 琉球藩、尚泰、政体、風俗、和漢混淆文
参照 大槻文彦『琉球新誌』(復刻版)、国書刊行会(1973年)。宮城県図書館「特集 きらめく文化財の世界 パート1」宮城県図書館だより・ことばのうみ、第14号(2003年)。

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