支那歴代沿革図 全

番号 197
名前 支那歴代沿革図 全
読み しなれきだいえんかくず ぜん
サイズ(cm) 874.8 x 36.2
彩色 木版 色刷 
作者 惺軒二宮彜識 雪城澤 郷書
版元 鳴鳳楼 蔵版
作成日(和暦) 安政2年乙卯春3月
作成日(西暦) 1855年
地域 中国
解説 水戸藩の地理学者長久保赤水(ながくぼ せきすい、1717~1801)が刊行した中国の歴史地図。木版多色刷りの折り本。初版には寛政元年(1789)の序文があり、天保6年(1835)に再版、さらに惺軒二宮彜(東都惺軒二宮彜)によって増補され(雪城澤 郷書)、「安政二年歳在乙卯春三月」の序文を補して、「安政四年(1857)丁巳孟夏」に摂都書房積玉圃文永堂により合梓され刊行された。長久保赤水は、名は守道、のちに玄珠(はるたか)と言い、字は子玉、通称源兵衛と称し、赤水はその号である。水戸の彰考館名越南渓に師事、立原蘭渓らと親交を結び、朱子学・漢詩文・天文・地理学などの研鑽を積む。安永6年(1767)に水戸藩主徳川治保の侍講に抜擢されて江戸に出仕し、寛政3年(1791)に75歳で致仕後は『大日本史』の編修に加わる。「改正日本輿地路程全図」、「改正地球万国全図」、「大清広輿図」など、数多くの地図や地理書を編纂・刊行した。本図巻頭の「新訂万国略全図」は、天保6年の改訂時に新たに加えられたものである。以下、「大清国道程図」、「兎貢九州図」(経緯度表記あり)、「周職方氏図」、「春秋列国図」、「戦国七雄図」、「秦三十六郡并越四郡」(緯度表記あり)、「西漢州郡図」、「東漢郡国図」、「三国□峙図」、「西晋南北朝州郡図」、「唐十道図」、「大明一統二京十三省図」(緯度表記あり)の12図からなる中国歴代地図と、「亜細亜小東洋図」(経緯度・回帰線の表記あり)からなる。この中国歴史地図帖は評判がよく、各藩の藩士教育や、私塾や家塾(藩の指示による)などの漢籍学習の必見書でもあった。「亜細亜小東洋図」には、ラフタッチな日本を中心に東アジア地域が描かれている。南は琉球から北は松前(蝦夷地南部)までが日本領土として描かれ、日本海の竹島・松島も含まれる。他方、琉球については「日本鎮西為朝度琉球子孫為国王乃/祭為朝□祢舜天太神宮諸事尚日本風」、北方の大陸沿海部については「日本越前新保人寛永癸未年漂至/韃靼地奴児干門戸神画源判官義経像云」と、異国・異域と源為朝伝説や源義経伝説を結びつけるような記述もみられる。また、日本の東の海上には金島・銀島・強盗島など、実在しない架空の島々も描かれている。
要約 「改正日本輿地路程全図」や「改正地球万国全図」などを著した水戸藩の地理学者長久保赤水が刊行した中国の歴史地図。木版多色刷りの折り本で初版は寛政元年(1789)。本図は安政2年(1855)の改訂版で、惺軒二宮彜によって増補され、巻頭に「新訂万国略全図」が掲載されている。赤水は寛政3年(1791)に75歳で致仕後は『大日本史』の編修に加わった。
キーワード 長久保赤水、中国歴史地図、惺軒二宮彜
参照 長久保光明『地図史通論—談義と論評—』暁印書院(1992年)。明治大学附属図書館(蘆田文庫)HP(http://www.lib.meiji.ac.jp/ashida/)。

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