大日本道中行程細見記

番号 231
名前 大日本道中行程細見記
読み だいにほんどうちゅうこうていさいけんき
サイズ(cm) 912.0 x 18.0
彩色 木版 色刷
作者 酔雅子
版元 淀屋橋筋高麗橋 檜皮屋善作/九之助橋壱丁目 秋田屋良介
作成日(和暦) 天保8丁酉年6月
作成日(西暦) 1837年
地域 日本
解説 近世後期になると、寺社参詣や名所遊覧など一般庶民の物見遊山も盛んになる。本図はそうした実用本位に編集されたポケット版旅ガイドマップの一つで、木版色刷による単折本の形態をとる。その刊記によれば、本図の初版(原板)は享保7年(1722)と古く、以下明和6年(1769)・文化元年(1804)と改刻・再刻されている。天保8年(1837)時点ですでに115年もつづいていることになり、この後も嘉永3年(1850)版「大日本国順路明細記大成」がある。明和版までは墨刷手色彩であったが、文化版以降は色刷となり、この天保版は色刷折本道中記の最も完成されたもののひとつといえる。北は蝦夷、マンチウ・ダッタン・カラウトシ(樺太)、西は対馬、朝鮮、中国まで描かれている。また「江戸略図」も収録されており、図中には日本橋からの里程も記載されている。縮尺については「鯨尺ヲシルス中間スベテ曲尺一間ノ印ヲナス」とあるが、紙幅が狭いため図の表現はダイアグラム形式をとる。冒頭には、東海道・木曾道(中山道)・奥州道・長崎道(山陽道)は太筋で示され、里数や名所旧跡の記載、合印(地図記号)としては駅もしくは舩着(ふなつき)、国境、道筋の分岐点、山坂峠川名、舩路(ふなぢ)が用いられている。「荷物掛目御定之覚」、十干十二支や有名社寺22社・日本五山、旅の準備品も紹介されているが、その中には「道中記」もあがっている。巻末にも、日本東西道矩、関東五山、異国道法(朝鮮、北京、オランダなど)、中華地方・朝鮮地方の概要、京都三條大橋ヨリ諸方道法、大坂高麗橋ヨリ諸方道法并方角、風雨ヲ知ル事(気象予測)、不成就日、鬼宿大吉日、往亡日、年代六十図(十干十二支と和暦年代)などについても記載されている。この他に,「鼻息ニテ時ヲ知ル事」「落馬セヌ方」といった当時の旅の注意事項や,潮汐干満,略年代記なども掲載されている。
要約 近世後期の旅行ブームを反映して実用本位に編集された道中地図。木版色刷による単折本で、図の表現はダイアグラム形式をとる。初版(原板)は享保7年(1722)と古く、たびたび改訂された。文化版以降は色刷となり、この天保版(天保8年)は色刷折本道中図の最も完成されたもののひとつとされる。旅に関する諸情報や注意事項も充実している。
キーワード 道中地図、旅行案内図、折本、ダイアグラム形式
参照 海野一隆「町図と道中記」(中村拓監修『新装版 日本古地図大成解説』講談社、1974年)41~44頁。山下和正『地図で読む江戸時代』柏書房(1998年)。矢守一彦『古地図と風景』筑摩書房(1984年)。徳島大学附属図書館HP(http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/%7Earchive/index.html)。

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