越前国図

番号 73
名前 越前国図
読み えちぜんのくにず
サイズ(cm) 39.0 x 27.4
彩色 手書 手彩色
作者 厳卿
版元 小森氏 蔵図
作成日(和暦) (項目なし)
作成日(西暦) (項目なし)
地域 福井県
解説 越前国を描いた小型の簡略な手書き国絵図である。余白の記載から作者である厳卿は,小森氏の蔵図を3分の1に縮写してこの図を作成したことがわかる。厳卿は,本図の他に№65「備前国図」や№72「石見国図」なども作成しており,小森氏が所蔵する一連の国絵図群を何らかの目的で安政年間頃に写し取ったものと考えられる。なお,厳卿および小森氏についての詳細な情報はわかっていない。 彩色は墨と朱の2色で,街道を朱で引く以外は,村形,郡界線などはすべて墨一色である。村は小判型の村形,城下町や一部の町は方形で表している。注記として街道がどこに至るか、それぞれに道程が記載されているが,作成者の関心が交通にあったかどうかはわからない。また,本図で越前国は12郡,「高六十八万二千六百五十四石」として描かれている。越前国が12郡で描かれたのは承応期の国絵図までであり,寛文期の国絵図からは8郡で描かれることが知られているため,本図は承応期以前の様子を描いているのではないかと考えられる。 図の余白には「今立郡中出口、木引、曲木、町村、樋口、花出、松成、原ノ八村ヲ合併シテ中野村ト改ム」や「大野郡中木本地頭方村木本領家村明治七年五月木本村ト復称候旨内務省ヨリ布達アリ 祐順誌」などと村の合併情報が記載されており,明治にいたるまで本図が利用されていたことをうかがわせる。ただし,合併情報を記載した者と絵図作成者が同一人物であるかの特定し難く,合併情報が後筆である可能性も否めない。また,敦賀郡の「ヒキ田」村の村形を太い線で強調しており,ここに作成者あるいは本図利用者の意図を窺うことができる。
要約 越前国を描いた小型で簡略な手書き国絵図。余白の記載から作者である厳卿は,小森氏の蔵図を3分の1に縮写して本図を作成したことがわかる。越前国が12郡で描かれたのは承応期の国絵図までであり,寛文期の国絵図からは8郡で描かれることが知られているため,本図は承応期以前の様子を描いているのではないかと考えられる。図の余白には村の合併情報が記載されており,明治にいたるまで本図が利用されていたことをうかがわせる。
キーワード 越前国、厳卿、小森氏
参照 国絵図研究会編『国絵図の世界』柏書房(2005年)。福井県編『福井県史 資料編⑯絵図・地図』福井県(1990年)。

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