関八州輿地路程全図

番号 286
名前 関八州輿地路程全図
読み かんはっしゅうよちろていぜんず
サイズ(cm) 142.0 x 135.0
彩色 木版
作者 酒井喜煕
版元 須原屋茂兵衛・須原屋伊八・須原屋佐助・永樂屋東四郎・須原屋安次郎
作成日(和暦) 天保8年丁酉8月
作成日(西暦) 1837年
地域 北関東
解説 酒井喜煕(よしひろ)は、文化2年(1805)、水戸藩士の家に生まれる。9代藩主徳川斉昭に重用され、安政2年(1855)には海防との関係で日本の海岸線を描写した「皇国総海岸図」を編集し、藩主斉昭に献上した。さらに同図は幕府参与であった斉昭から幕府に献上される。子は明治期の地図製作者と知られる捨彦、孫は明治期日本画壇の大家横山大観である。 本図は喜煕32歳の時に江戸で出版された。武蔵・相模・安房・上総・下総・常陸・下野・上野の8か国を描いた大型の古地図である。国境を太い墨線で、郡境は点線で図示し、街道は朱線で引かれている。主要な街道には朱線を挟んで両側に小さく朱で丸が図示されており、一里山(一里塚)を示している。江戸と城下町は朱でぬった短冊に記載され、その他の集落名は小判型で囲んでいる。小判型のなかの集落名の下に、丸印を付して新田村落を示し、集落名の上に丸印があると支村(枝村)といったように区別しており、他の類似の刊行図にはみられない特色である。さらに、国境の山々の名称を詳細に記している点も特色がある。本図は編集図ではあるが、余白に記された自序には、疑問が生じると実際に調べに出かけ、それができない場合にはその土地の出身者に尋ねて作成したことが記されており、実証性を追及した若き日の学者としての姿勢を読みとることができる。
要約 水戸藩士酒井喜煕が国絵図などをもとに関八州の絵図に仕立てたもので、武蔵・相模・安房・上総・下総・常陸・下野・上野の8か国を描いた大型の古地図である。本図は編集図ではあるが、余白に記された自序には、疑問が生じると実際に調べに出かけ、それができない場合にはその土地の出身者に尋ねて作成したことが記されており、実証性を追及した若き日の学者としての姿勢を読みとることができる。
キーワード 酒井喜煕、関東、水戸藩、国絵図、天保期
参照 長尾政憲『横山大観と近親の人々』鉦鼓洞(1984年)。

ページ上部へ